「血を流す少女の廃屋」

ある地方都市のはずれにある、廃屋が立ち並ぶ場所がある。その中でも、特に不気味だと噂されているのが、かつて病院だった「赤い屋敷」だ。

その屋敷は、かつて火事で多くの患者や医師が亡くなったという。それ以来、夜になると屋敷から悲鳴や泣き声が聞こえ、血を流した少女の姿が目撃されるという噂が絶えない。

ある日、大学の友人と肝試しに行くことになった、20歳の大学生・佐藤は、その噂を聞いて興味を抱く。佐藤は、友人たちを説得して、夜に赤い屋敷に向かうことにした。

夜の10時、佐藤たちは赤い屋敷に到着した。あたりは真っ暗で、ただひっそりと静まり返っている。佐藤たちは、勇気を振り絞って、屋敷の中に足を踏み入れた。

屋敷の中は、すっかり荒れ果てていた。壁には落書きがされ、床にはゴミが散らばっている。佐藤たちは、恐る恐る屋敷の中を進んでいく。

突然、佐藤は、後ろから誰かに見つめられているような気がした。振り返ると、そこには、血を流した少女の姿があった。少女は、佐藤をじっと見つめて、微笑んだ。

佐藤は、思わず悲鳴を上げてしまった。友人たちは、佐藤に何が起こったのか尋ねたが、佐藤は何も言えなかった。

佐藤たちは、恐怖に駆られて、屋敷から逃げ出した。

翌日、佐藤は、友人たちに、自分が見た少女の姿を話した。友人たちは、佐藤の話が信じられなかったが、佐藤は、自分が見たことは間違いないと言い切った。

佐藤は、それ以来、赤い屋敷のことを思い出すたびに、恐怖に襲われるようになった。

ある日、佐藤は、赤い屋敷の噂を調べてみた。すると、佐藤は、あることに気づいた。

それは、赤い屋敷の火事の原因が、患者の一人による放火だったということだ。その患者は、病院で不治の病に冒され、絶望のあまり、火を放ったという。

佐藤は、その患者が放火したとき、自分も赤い屋敷の中にいたのではないかと考えた。そして、佐藤は、自分が見た少女の姿は、その患者の霊ではないかと考えるようになった。

佐藤は、その患者の霊を供養するため、赤い屋敷に花を手向けに行った。佐藤は、静かに手を合わせ、患者の霊に謝罪した。

それからというもの、佐藤は、赤い屋敷のことを思い出すこともなくなり、恐怖に襲われることもなくなった。

 

結末

佐藤は、赤い屋敷の事件をきっかけに、自分自身の過去と向き合うことができた。佐藤は、自分自身の過去を受け入れることで、心の傷を癒すことができた。

 

考察

この話は、心霊スポットである廃屋を舞台に、主人公が自分の過去と向き合う物語です。

主人公は、廃屋で見た少女の姿に恐怖しますが、その少女は、主人公自身の過去の象徴であると考えられます。主人公は、過去の出来事を受け入れることで、心の傷を癒し、恐怖から解放されます。

この話は、恐怖を描いた物語ですが、同時に、過去と向き合うことの大切さを伝える物語でもあると言えるでしょう。