たばこ
東京の下町、ある小さな喫茶店で、こんな噂が流れていた。
「あの店で、たばこを吸った客が、次々と不幸になるんだって」
その噂を耳にした、ある青年がいた。彼は、たばこを吸うことが大好きで、どこにでもたばこを持っていくような、いわゆるヘビースモーカーだった。
「そんなわけないさ」
彼は、噂を信じようとはしなかった。しかし、ある日、彼は偶然、その喫茶店の前を通りかかった。
店内は、薄暗く、古い家具が置かれていた。彼は、ふと、窓際の席に座っている女性の姿を見た。
女性は、彼と同じように、たばこを吸っていた。彼女は、彼を見た瞬間、不敵な笑みを浮かべた。
「よかったら、どうぞ」
女性は、彼にたばこを差し出した。
彼は、少し躊躇したが、ついに女性からたばこを受け取った。
彼は、たばこに火をつけた。そして、一服を吸った。
その瞬間、彼は、何かがおかしいと感じた。
彼の周りの空気が、一変したのだ。
空気は、冷たく、湿っていた。そして、彼の体は、震え始めた。
彼は、女性にたばこを返そうとしたが、女性はすでに姿を消していた。
彼は、店を出ようとしたが、ドアが開かない。
彼は、恐怖に襲われた。
彼は、必死に叫んだ。しかし、誰も彼の声は聞こえなかった。
彼は、そのまま、店の中で、永遠に閉じ込められてしまった。
その噂は、その後も、下町で語り継がれた。
そして、その噂を聞いた人々は、その喫茶店に近づかなくなった。
しかし、ある日、また、その喫茶店で、たばこを吸った客が、不幸になった。
その客は、その噂を信じておらず、あえてその喫茶店で、たばこを吸ったという。
彼は、その喫茶店を出た後、交通事故に遭い、命を落とした。
その事故の原因は、彼がたばこを吸ったせいだという噂が、またしても流れた。
そして、その噂を聞いた人々は、さらに恐怖に駆られた。
その喫茶店は、今でも、人々から恐れられ、近づかれることはない。
結末
ある日、ある青年が、その喫茶店を訪れた。
彼は、その噂を信じていなかった。
しかし、彼は、その喫茶店で、あるものを見た。
それは、壁に描かれた、不気味な絵だった。
絵には、たばこを吸っている女性が描かれていた。
そして、その女性の顔は、彼が店内で見た女性の顔と、瓜二つだった。
青年は、恐怖に襲われた。
彼は、その喫茶店をすぐに出た。
そして、彼は、その喫茶店に二度と近づかなかった。
しかし、彼は、その喫茶店で見た女性の顔を、決して忘れることができなかった。